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秘境小和田駅と徳久保集落(後編)

徳久保集落を訪れました。

 

<徳久保集落>

徳久保集落は水窪にある廃集落です。長野県天龍村との境にほど近い山奥の集落で、車社会とは全く無縁な場所に位置しています。昭和の前期まで炭焼きなどをして生活をしていたようですが、今ではグーグルアースで見ても集落があった痕跡すらわかりません。

水窪町史を確認してみたところ、昭和25年の国勢調査の人口動態で「徳久保」の名前が消えていたので、少なくともこの頃には人が住まなくなったのだと思われます。

 

<今回のアクセス方法>

飯田線小和田駅から歩くこと1時間程度→林道天竜川線と塩沢集落(こちらも山奥の集落ですが、今も数戸の世帯が生活をしています)→塩沢集落から林道を歩くこと30分程度→山中に入り、山道を歩くこと1時間半程度→徳久保集落

 

※林道をはずれてからの山道は、ところどころNPO山に生きる会が目印となるテープや布を付けてくれていますが、序盤から中盤にかけて道が消えているところやシカ道と交差しているような箇所があり、わかりづらいです。今回は若干迷いましたが、下調べもしてきましたしGPSも持参していましたので、無事にたどり着くことができました。今回、古くなった印の上から新しい印を付けたり、倒木を処理したりもしたので、だいぶわかりやすくなったと思いますが、単独で初めて来訪することはあまりおすすめできません。

<集落の様子>

廃屋が一軒と神社跡があったほかは、建物は確認できませんでした。集落があったと思われる場所は、広いなだらかな地形で、石積みの跡がありました。廃屋には、昔の縦挽きの大きなノコギリや鉄の塊のような重いチェーンソー、鉄瓶や古箪笥などが残されていました。集落の入口には炭焼き窯の跡があり、かつての生活の様子が垣間見えました。

<ネズコ(クロベ)巨木>

樹齢800年とも言われるネズコの巨木が集落の中にどっしりと構えています。さらっとした感じの赤みがかった樹皮と鹿の子を思わせる白い斑点から、「迫力がある」というよりも、非常にしなやかで美しい印象を受けました。枯れた太い枝が何本も張り出している様子は、生き物の骨を思わせます。廃集落の中に一本だけ珍しい樹種の巨木が生えているという状況も相まって、厳かな雰囲気を感じました。

来てよかったです。

今まで町内の色々な廃集落を歩いてきましたが、何らかの形でこれらの情報をまとめて、ある程度ちゃんとした形で残すことができればいいな、と考えています。

NPO山に生きる会が2014年に徳久保集落に訪れた際の記事をHPに掲載していますので、そちらも併せてご覧ください。かつての集落の景色も掲載されています。↓

巨木 ねずこ クロベ (yamaniikiru.com)