· 

中学生と夏焼集落

中学一年生の総合学習にご一緒する形で水窪の夏焼集落に行ってきました。夏焼集落に訪れたのはこれが3回目ですが、来るたびに色んな発見があります。例として以下の3点ほど。

 

①民間の近くまでは自動車道が通っていないため、ふもとから集落に線(ワイヤー)を張って荷物を上げていたそうですが、この動力はふもとに廃車同然で置かれた自動車によるものでした。急斜面の暮らしを楽にするための先人の知恵を見た気がします。

 

②山間地域の山の中でよく見る炭焼き窯は、山中のくぼ地に石を円状に積んで、その中にカシなどの硬い木を隙間なく並べて、並べた木の上に直接粘土質の土を被せて圧力をかけて固めて屋根にしてあることが多いです。しかし、夏焼集落で見つけた炭焼き窯は屋根の部分に粘土を使わずトタンで覆っていました。地域の方によると、これは夏焼地区では粘土質の土があまり取れなかったためだといい、ここでも暮らしの工夫を感じました。

 

③天竜川は佐久間ダムや秋葉ダムによりせき止められ、その上流には土砂がたまることになるため、川底の砂をとるための船が多く運行しています。この水底の土砂をとって処分する作業を「浚渫(しゅんせつ)」といい、この作業をする船のことを「浚渫船」というようです。天竜川でこの船を見慣れている人にとっては常識なのかもしれないですが、少なくとも自分は初めてこの言葉を知りました。

 

中学生もこういった話を熱心に聞いていました。こういう「地域の暮らしを知っている」ということも、水窪の子供たちの大きなアイデンティティなのではないかな、と思います。